- ○参考1:パルス波に対するB粒子の挙動
- B粒子は磁界に対して独特の反応を示す、と述べたが、結局のところB粒子はほぼ磁界そのものに沿って運動を行う。例えば、定常電界の周囲に発生する右回りの円環磁界中(錬金炉の分解層など)においては、B粒子は即座に磁界の方向の軌道に引き寄せられ、円運動の軌道に固定される。錬金炉においてはこの性質を利用して原色粒子の3極分離を行う(正極にG粒子、負極にR粒子、円筒側面にB粒子が収束する)が、しかしこの性質を最も画期的に利用したのは、RGBシリーズにおけるBIOS(Bシステム)であった。
きっかけとなったのは、パルス波に対するB粒子の挙動であった。電界が発生すればその周りに右回りの磁界が発生するのはマクスウェルの電磁方程式から見ても必然のことであるが、パルス波のように電磁界の波があっという間に通り過ぎていく場合には、B粒子は強い磁界に引かれて、円運動を行いながらこれを(正確には電界と逆方向に流れる電子流を)追いかける。つまり、螺旋の軌道である。一般の人工的パルス波においてはこれは単に珍しいだけの現象だったのだが、問題になったのは脳内の命令伝達に使用される微弱なパルス波にB粒子を追従させた場合である。僅かながらではあったが、確かにB粒子が重力場に影響を与えたのである。すなわちこれは、特定の螺旋の軌道をとるB粒子によって重力子、ひいては時空の制御を行うことができる可能性を示唆していた。
その後、あらゆるパルス波に対するB粒子の挙動、その際の重力場の変化について実験が繰り返し行われたのだが、しかし何を試したところでこれといった結果を得ることは出来なかった。だが、それでもしつこく実験を続けていくと、やがて2つの興味深い特徴が明らかになった。まず、脳波に反応するとはいっても何にでも反応するわけではなく、左右の脳に特定の極性をかけた状態でなければならなかったこと。そして、その状態におけるB粒子の右回り螺旋追従軌道が数あるDNAのうちいずれかの二重螺旋構造の片方とぴったり一致していたこと。これらの2点に絞ってその原因を究明していくと、信じがたい事実が発覚した。DNAの螺旋構造は超弦理論の「紐」の状態を表す形の1つであり、極性をかけた脳の表面がそれに対応する「ブレイン」の役割を果たしていた、というのである。
B粒子が「ブレイン」の中で「紐」の軌道をとると、はるか高次元に存在する重力子の挙動に影響を与える。半ば冗談のようだが、ともかくその事実は認めざるを得なかった。しかし、問題はそれを発生させる要因が脳波だけである、ということで、つまり二度と同じ波形を発生させることが出来ないため、一様な結果が得ることは不可能だった。これでは、制御など考えるべくも無い・・・と、考えるのが普通だが、実はこの理論をそのままシステムにしてしまったのがBシステムである。つまりBシステムの開発者は、そもそもの機体制御を脳波制御に置き換えてしまえば、その制御下にB粒子を置けるはずである、と考えたのである。
この発想は、むしろ成功したという結果から導かれたのではないかと疑いたくなるほどに、ありのままの結果をもたらした。Bシステムにおいては、左右の脳に極性をかけ、増幅して取り出した脳波によるアナログ命令をデジタライズして機械命令に置き換えていくのだが、B粒子に関してはもはやデジタライズする必要すらなかった。思考をそのまま重力子制御に向けることなどは到底出来なかったが、本能領域の脳波信号に追従したB粒子を然るべき流通経路に乗せる(伝達の際には脳波ごと、粒子の螺旋軌道を保存して各部に伝えられる)と、それは見事に重力場を踏み均し、自らの都合の良いように重力子の流れを整然と整えた。例えば左方向からのGが激しく、パイロットの身体に負担をかけているようならば、それを緩和するように重力子の流れの方向を変えてしまった。
このように、システムの根本部分がパイロットの「本能」に依存しているため、RGBシステムが提供する性能はパイロットの精神状態に否応なく左右されるのである。
- ○参考2:光子反応炉の発電効率
- 本文随所において繰り返し光子反応炉の効率のよさを主張したが、実際、従来の発電方式とどの程度違うのかということを定量的に比較検討してみよう。
比較対象として火力発電、原子力発電を考える。各々の燃料1gあたりの理想発生電力量を比較するとして、火力発電の燃料にC重油を使った場合の発生電力量をEF、原子力発電の燃料にU235(ウラン235)を使用した場合の発生電力量をEN、そして光子反応炉の燃料としてHe4(ヘリウム4/普遍的ヘリウム)を用い、発生したγ線を全て電力に変換した場合の電力量をEPとする。
まず火力発電に関して、C重油の発熱量を10600Kcal/kg、カルノー効率をηc=0.50とすると、
となる。
次に、原子炉内において
U235+n1 → Mo95+La139+2n1
の核分裂反応が起こったとして、それぞれの質量をU235=235.124[amu]、 n1(中性子)=1.00897[amu]、 Mo95(モリブデン95)=94.945[amu]、 La139(ランタン139)=138.955[amu]、 カルノー効率を火力発電同様にηc=0.50、 光速をc=3×108[m]とすると、
1gあたりの質量欠損mは
であるから、発生電力量は
EN = mc2×ηc
= 9.15×10−7×(3×108)2×0.50
≒ 4.12×1010 [J]
≒ 11.4 [MWh]
である。
そして、光子反応炉の場合に、1周期あたりのエネルギー漏洩率をk=0.0013、光電変換率をηp=0.72とすると、m=10−3[kg]であるから
結局のところ、光子反応炉の対資源発電効率は原子力発電に対してEP/EN≒1.45×103倍、火力発電に対してEP/EF≒2.68×109倍となる(※あくまでも概算である)。
また、原子炉1基あたりの発生電力を100[MW]とすると、この反応炉は運転を1時間続けて100[MWh]のエネルギーを発生し、1日稼動すると結局2.4[GWh]の電気エネルギーを発生することになる。この際に使用される燃料(U235)は2400/11.4=211[g]、これを光子反応炉で肩代わりすると、なんと僅か0.145[g]のHe4で原子炉1日分の電力を発生してしまうのである。そもそ燃料となるウランとヘリウムの存在量の違いからも、そのあまりに圧倒的な効率の格差が見て取れる。また、前述のとおり総発電量の約1/1,000(原子力発電とほぼ同等)のエネルギーを物質変換に向けることによってほぼ無制限にHe4が生成できるので、これはどう無駄遣いしても人類が滅亡するまでにエネルギーが枯渇することは無い、と断言できた。