長らく終わることのない紛争は、やがて惑星・レイを崩壊させるまでに至った。
赤黒くただその最後の刻を待ち続けるレイ。
残された人々は移民船シュレイダーG−03を建造、次なる母星を求め、
終わりの見えない航海が始まったのであった。

―航海を開始してから既に数世紀。
レイの乗組員のほとんどが、本来の目的を忘れかけた―いや、忘れていたころ。
その、眼前に広がる蒼い惑星は数百年もの昔に見た、レイそのものだった。
この星を水の惑星アビスと呼んだ。アビス、文明、そして住む人々…。
シュレイダーはこの全てを奪うため、侵略を開始する。

惑星間での大きな戦争が開始されたのだった。
移民船に搭載された9機の量産型戦闘機”アーサー(ACER)”。
この9機と多大な代償を支払って、アビスはついにシュレイダーの手に渡る。

…レイが滅んだ時と何一つ変わりはしない。この時、何人がこの事実に気付いたのだろう。
長い長い航海のなかで、既にレイが滅んだ本当の理由さえ忘れ去られたまま、
悪夢が再び起ころうとしていた…。

 
この様子をずっと見ている者たちがいる。
―衛星機動上・アムールに存在する、アビス第03独立部隊・持来(リトリーブ)。
ジル=オールを部隊長とする彼らはこの時をただひたすらに待っていた。
愛する人を、アビスを失う様を耐え、
弱まった侵略者シュレイダーを一気に潰そうとする作戦であった。
主戦力であるACERを失い、既に反抗勢力のないシュレイダーを葬るのは、
いともたやすいことであった。包囲されるアビスとシュレイダー。
既に対抗する術もなく、運命(さだめ)を受け入れることは確定的と思われた。

しかし、そのとき突如シュレイダーより、長らく封印され誰もその姿を見たことがない、
試作型戦闘機”アーサー(AXER)”が現れ、大編隊の前に一機、突入して行った―。

果たしてアーサーは、惑星アビスをシュレイダーへと託せるのか。
レイを越え先に待ち受けるは、栄光の光か、虚無なのか。
その答えは―。